ここのところ、ふくちゃんの抜け毛が半端ない。
部屋のあちらこちらで、フワフワと舞うふく毛に遭遇。
掃除機をかけたシリから、ふくちゃんの毛、毛、毛ーーーー。
「もう!、一体どこに隠れてたのよぉ!!」
軽やかにフワフワ漂うふく毛を追いかけては掃除機で吸いまくる。
よし完璧!!
そう思った直後、「また、お会いましたね〜」なんつって因縁の再会を果たすのだ。
本体(ふくちゃん)の姿は見かけないってのに、ホンマどないなっとんねん!!
入念に掃除をしても何処からともなく現れるふく毛との戦いは果てしない。
本体(ふくちゃん)は姿を消してるのに分身(ふく毛)の術を使ってくる。
ふくちゃんってば、もしかしてハットリくんよりも忍者らしいんじゃないの?
我が家では年々、ふくちゃんの存在感の大きさが増しているのは間違いないようだ。
そんなだから、ふくちゃんと暮らす上でブラッシングは重要なミッション。
猫鍋の中、スースー寝息を立てているところへジリジリにじり寄りブラッシングする。
が、小さい猫鍋の中ではブラッシングできる範囲が狭すぎる。
本人も気を遣ってかコロンとお腹を差し出したり、次はこっちね〜なんて角度を変えてくれたりと協力的。
けれど如何せん互いのタイミングが合わない。
ふくちゃんの積極性と私のブラシ捌きが上手く噛み合わないので永遠に平行線を辿る。
せっかく取れた毛だまりを「よっこいしょ」とひき連れ体勢を変えるものだからややこしい。
取れた毛だまりは再び本体(ふくちゃん)へと里帰りしていくのだ。
また別の日は気遣いのできる素敵女子に変身するふくちゃんが姿を現す。
「あなたにばかりブラッシングさせて悪いから…」
謙虚なのか邪魔したいのか分からないが一緒に毛繕いをするものだから、これまたややこしい。
一心不乱に毛繕いするふくちゃんの頭と必死に毛を回収する飼い主のブラシがゴツンと当たる。
すると「フン」なんてため息を吐かれ、明らかイラッとされるからたまったもんじゃない。
残念ではあるが今のところ私とふくちゃんは息合ったバディと呼ぶには相応しくない。
憧れは奈良県の中谷堂の高速餅つき。
あの二人みたいく息の合ったバディになるには、時間とテクニックがまだまだ必要そうだ。
そして何よりも一番大変なこと。
ブラッシングの終了の合図が分かりづらい。
永遠に毛が取れる。取っても、取っても大量に毛がついてくる。
小さいふくちゃんが産まれるんじゃないかってくらい毎日毎日大量の毛が取れるのだ。
「これがアルパカの毛ならお金になるだろうけど、ふくちゃんの毛じゃダメよね…」
そんなことを嘆きながら来る日も来る日もブラッシングする。
「お客さん今日も凄い毛量ですね〜。夏なのでエアリー感を出しつつ少し軽めにしておきますね〜!」
テッパンの美容師さんごっこをしながら毎夜、毎夜ブラッシングし続ける…
でもブラッシングばかりしていると心なしか毛がバシバシしてくる。
皮膚も負けてフケのようなものも出てくるし…
良かれと思ってやってることが逆効果になっている気がする。
キレイになるためのブラッシングのはずが、どんどんみすぼらしくなっていく。
これではいかん!!
せっかくのこの暑さを利用しない手はない。
そうだ、お風呂だ、お風呂に入れよう!
題して「ちゃいちゃいプロジェクト」を決行することに。
あっ、ちなみに”ちゃいちゃい”とは京都弁で言うお風呂のことです。
暑すぎるくらいの気温だし、これならばドライヤー嫌いのふくちゃんの毛もササっと乾くだろう。
実に一年ぶりのお風呂。
本当はもっとマメに入れてやれればいいのだけど…
飼い主、喘息持ちのためふくちゃんのお風呂は決死の覚悟で挑まなければならない。
そう、ふくちゃんにとっても飼い主にとってもお風呂は一大イベント。
確か去年は、ふくちゃんをお風呂場からリリースした直後に喉がゼロゼロヒュルヒュル〜ってなりだすし、そうこう言ってるうちに「い、息が苦しいんです…」って言いながら急いで薬を吸入したっけ。
そんなことを思い出し、今年は万全の大勢で挑んでやろうと。
メガネとマスクを装着し、なるべく喘息の要因を減らす。
飼い主の不穏な動きに警戒しつつも「ちゅ〜るしよっか?」って言葉にウキウキするふくちゃん。
なになにー?なんて喜び勇んで後へ続くふくちゃん。
キラキラした目でやってきたふくちゃんの姿に少々心が痛む。
がその一方で、これまで一度だって洗面所で食べ物を貰ったことがないのだから警戒心を持たなきゃ!!
だから今日も騙されちゃうんだよなんて思いながら…
よく考えれば「ちゅ〜るトラップ」だって気づくはず。
でも食欲の鬼と化している今の彼女は気付く由もない…
そんなこんなで、あっさりと捕獲完了。
浴室のドアが閉まり騙されたことに気づいた瞬間
「助けてくださーい!誰か、助けてーーー!」
珍しく大きな声でミャーミャーと助けを求めてたけど、誰も助けにきてくれない。
そうこうしているうちにシャワーで身体を濡らされ始めた瞬間諦めた。
現実を受け入れた途端、しょうがないなとばかりにお風呂タイムに付き合うことに決めたふくちゃん。
予め、泡立てたシャンプーを手に取ったのを合図に「ちゃいちゃいプロジェクト」がスタートする。
身体を泡で包まれながら全身をゴシゴシされてる。
ベランダ探索で汚れた踵の部分やおちりの周りもキレイ、キレイに。
耳に水が入るのが怖いので頭のてっぺんまでは、なかなか洗えないのでギリギリのラインまでゴシゴシしてはシャワーをザーザー当てらる。
身体を流されてることが次第に気持ちよくなってきたのか、大人しくされるがままのお利口さん。
目をまん丸にしてシャワーを浴びてるふくちゃんのお鼻はいつもよりもピンク色が濃くなり可愛いったらありゃしない♡
でもね、流しても流しても毛が大量に取れるの。終わりがないの。
ふくちゃんは悟りを開いたみたく微動だにせずシャワーを浴び続けてるし…
あれ??ふくちゃんってばホントはお風呂好きだったの!?
せっかく気持ちよくしてるところ、シャワーを止めるのが何だか申し訳なく思えてくるし。
それにしても一番滑稽なのが私。
メガネを曇らせ汗をブリブリかきながら必死になって「おりこうさんだね〜」「かわいいね〜」って猫を褒めちぎる姿は側から見ればかなりヤバい感じなんだろうな、きっと。
総じて今回の「ちゃいちゃいプロジェクト」は成功したと思われる。
ただ今回の反省点があったとすれば、スマホを持っていくのを忘れたことかな。
おめめクリクリでシャワーを浴びてるふくちゃんの可愛い顔を撮り損ねたことが最大の失敗。
それともう一つ言うなら写真という写真を全く撮り忘れてたこと…
終わったと同時に力尽きた飼い主。
フルマラソンを完走したような達成感と疲労感のせいで、濡れて一回り小さくなったふくちゃんの姿を写真に収めることがないまま休憩タイムに突入してしまった。
唯一、撮った写真もお風呂上がりにやけ食いしている後ろ姿という何ともお粗末なもの。
この夏の間にもう一度「ちゃいちゃいプロジェクト」第2弾を決行しようと思う。
次回はもちろんスマホは忘れずにね…