ふくちゃんは食べることが大好き。
でも何でもかんでもウェルカムって訳ではない。
初めて食べるものや、苦手な物に関しては頑なに拒絶する。
初めて見る食べ物は余程のことがない限り口をつけない。
お皿の前で石になる。
その後、全身から悲しみと絶望感を漂わせる。
「2時間前から楽しみにしてた夜ご飯がコレなんて…ふくちゃん、何か悪いことでもしましたか?」
もし喋れたら、泣きながらそう訴えてくるだろう。
その後、飼い主の掌にご飯をチョチョっと乗せてふくちゃんの口元に持っていくと食べることも、ある。
一口食べてみて「やだ、コレ美味しいじゃない!」となればシメたもの。
その後は何事もなかったように、お皿からバクバク食べてくれる。
しかし「コレ、そんなに好きじゃないです…」って場合は、延々と掌からチョビチョビご飯を配給する羽目になる。
もったいないから、せめて3分の2は食べてくれよ〜心の中で祈りながら掌から配給する。
「これ、美味しい匂いしてるやん!」「うわ〜、美味しそう〜」
「社長、安くして〜」でおなじみの夢グループの保科さんみたく時に甘い口調で、ふくちゃんを盛り上げその気にさせることも忘れない。
これで乗り切れる時は良いけれど、頑なに拒まれることも暫しある。
掌から配給しようとして断られ、困ったもんだなと次の手段を考える。
そんな時に限って、家族が通りすがりに茶々を入れてくるから困ったもんだ。
「そりゃ、あんまり美味しそうじゃないし食べたくないわな〜」
一番言ってはならぬ言葉を発するとは…空気を読んでおくれよ!
そして衝撃な言葉を聞いてしまったふくちゃんは、自分の直感の正しさを確信するのだ。
「ほら、やっぱり美味しないんやん!ふくちゃんは絶対、食べませんからね!!」
より頑なに拒絶するので、こうなってしまったら、ぐうの音も出ない。
なので初めて食べるものに関しては慎重になってしまう。
まぁ、それはどこのお家の猫ちゃんでもそうだろうけど…
でも一番、ひっくり返りそうになるのが以前は大好きでよく食べていたご飯を久しぶり出したら食べなかった時。
あの時の絶望感ときたら…
そない大袈裟に言わんでも〜って言われそうやけど、この場合にありがちなのが大好きやと信じてきって、まとめ買いをしちゃってるってこと。
これの破壊力の強さは半端ない…絶句ですよ、絶句。
お皿の前で、この世の終わりかって位どんよりしてるふくちゃん。
そのふくちゃんの横で茫然としゃがみ込む飼い主。
飼い主のおでこには、ちびまる子ちゃんの縦線がうっすら見えてるはず。
ことの時の我が家のリビング、カオスです。
まさに痛恨の極みです…
恐ろしいまでの物価高騰の中、闇雲にまとめ買いなんてするんじゃなかったよぉ。
久しぶりに食べる物には慎重にならなきゃダメなんだと改めて心のメモ帳に書き加えたのは言うまでもない。
そして残ったフードは無駄にできないと言うことで頼みの綱は姉の家の茶トラ男子のまさおちゃん。
ふくちゃんに負けず劣らず食べることが大好きな、まさおちゃんに願いを託す。
しかし、ふくちゃんの口に合わなかったものとなれば、もしかしたらまさおちゃんも拒むかもしれない。
姉にお伺いを立てたところ…
「まさおは雑食やし絶対、食べる思うで〜!」
姉の言葉通り、綺麗にペロリと平らげてくれたそうだ。
そして今後、まさおちゃんのご飯の候補としてレギュラー入りも果たしたようだ。
まとめ買いした分も全て消費しつつ、自分の新しいご飯の選択肢をも広げるだなんて…
さすが、まさお!漢(おとこ)中の漢やね!!
って訳で今回は事なきを得た次第です。
そういえば我が家の従兄弟猫たちは食の好みが似てるようでどことなく違う。
ふくちゃんが食べなかった物は、まさおちゃんが喜んで食べてくれたり
逆に、まさおちゃんが食べなかった物を、ふくちゃんがバクバク食べたり…
ふくちゃんはお魚の血合の部分が苦手だけど、まさおちゃんは全然平気。
その割に以前、いなばから販売されてた焼いわしは苦手だった。
そういやお下がりで貰った焼いわし、ふくちゃんは喜んで食べてたな…
金缶のホタテ味が大好きなふくちゃん。
だったらフリーズドライのホタテも好きだろうと思って買ったら全く食べてくれなかった…
もちろんそのフリーズドライのホタテは、まさおちゃんが美味しく平らげたてくれました。
それ以外でもいろいろと各自好みの差があり面白い。
まさおちゃんはシーバが大好きなだけれど、ふくちゃんは食べない。
CIAOシリーズの缶詰が出てくるとキラキラ目を輝かせるまさおちゃん、掌からしかか食べないふくちゃん。
育った環境の違いか?はたまた個性なのか!?
猫によって食べ物の嗜好がこうも違うのかと感心してしまう。
そして何気にお互い好きな物と苦手なものが上手くクロスしているから面白い。
食品ロスが出ないよう従兄弟猫同志、力を合わせているようでニャンとも微笑ましい。
まぁ、姉の言う通りまさおちゃんが雑食なのはあながち間違いではなさそうだが…
まさおちゃんは体育会系男子って感じで好き嫌いもあまりせず、モリモリ食べる。
きっと、まさおちゃんが人間だったら彼女が残した物までさらえてくれる逞しい系なんだろうねぇ。
対照的に、ふくちゃんは食に関して少々うるさいのが女子っぽくておもしろい。
そのくせ食べるのは好きなので人間だったら間違いなく美味しい店をチェックしまくってたんだろうな。
そして食に関して従兄弟間で共通しているのが、人間の食べ物にはあまり興味がないことくらいだろうか?
魚であれ肉であれ食卓に並んでても覗きにすら来ない。
そのお陰で我が家も姉の家も、食卓の安全が守られている。
あっ、でもまさおちゃんは葉っぱが好きだったんだ。
そういや葉物野菜を買って帰ると隈無くチェックしにくる子だった。
猫草にはあまり興味がないくせに、葉物野菜には興味津々。
その違いはよく分からないけど兎にも角にも、まさおちゃんが雑食だというのは間違いないようだ。